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遺言書とは

遺言書とは、自己の財産を自分が亡くなった後にどのように分けるかを記した書面のことです。
残されたご家族の手間を減らしたい、相続で揉めることはなんとしても避けたいと思われる方も多いかと思います。
そのようなときに有効な遺言書があれば、残されたご家族は遺産分割協議を経ることなく指定された財産を取得することができます。
遺言書がない場合、相続人が複数になると遺産分割協議が必要になり、特に相続人が多い場合は調整に時間がかかり、協議すること自体が大変になることもあります。

生前に相続について考えたときに最も悩ましいのは、相続発生後、遺産分割の行く末を見守ることはできないということです。
いざ揉めたとき、自分が間に入ることはもうできません。
自分が遺したもののために自分の大切な人たちの仲が悪くなることは絶対に避けなければなりません。
そのためにとても有効な手段が、遺言書を残すことです。

遺言書の主な種類とメリット・デメリット

種類 概要 メリット デメリット
自筆証書遺言 遺言者が基本的には全文を自筆で記入し、署名押印をした遺言書 費用がかからない
自分で書くだけなので手間が少ない
家庭裁判所への検認手続きが必要
内容に不備があった場合、遺言書自体が無効になる場合もある
ご自身での保管のため、偽造変造、紛失の恐れあり(※)
公正証書遺言 公証役場において証人2人以上の立ち会いのもと、公証人が作成した遺言書 公証人が作成するため不備がない
原本が公証役場に保管されるため偽造変造、紛失の恐れがない
家庭裁判所による検認手続きが不要
費用・手間がかかる
秘密証書遺言 公証役場に、封入・封印された状態で提出された遺言書 他人には内容が知られない
遺言書の存在については明らかにされる
費用がかかる
ご自身での保管のため紛失の恐れあり
不備があっても分からない
家庭裁判所による検認手続きが必要

※自筆証書遺言の保管制度について(2020年7月10日施行)

自筆証書遺言について、特定の法務局において保管することができるようになりました。
この制度を利用することにより内容の改ざんなどのリスクはなくなります。
さらに、遺言書の形式のチェックをしてもらえます。(内容についてはチェックしてもらえません)
また、家庭裁判所による検認手続きが不要になります。

遺言書を書くべき主な事例

  1. 子どもがいない場合(親や兄弟姉妹との遺産分割協議は難航することもありえます)
  2. 相続人以外でお世話になった方などに遺産を遺したい場合(遺贈をする)
  3. 内縁のパートナーへ遺産を遺したい場合
  4. 未成年後見人の指定をしたい場合(指定は遺言書でのみ可能)
  5. 相続人の廃除の意思表示をしたい場合

遺言書作成支援における当事務所のモットー

『ご家族がより絆を深め、支え合って生きていける未来をつくる遺言書』

遺言書はただ書けばよいということではありません。
有効な遺言書であれば書かれた内容のとおりに財産の受け継ぎ先が決まりますので、相続手続きにおいて遺言書は非常に強力なツールになります。
その大きな効力ゆえに、書かれた内容によっては以後の家族関係に悪影響を及ぼすこともありえます。
また、遺言書自体が無効になることや、書かれた内容があいまいで具体的な効果を発揮できない遺言書も存在します。
こうした“相続争いの火種”になってしまう遺言書にならないためには、遺言書を書く前段階の準備がとても大切です。
それは「財産を把握し整理すること」です。
どのような財産が、どこに、どれだけあるのか。
ここを明らかにしないとよい遺言書を書くことはできません。

むしろ、財産を整理しておくだけでもご家族からはとても感謝されることになります。
なぜなら、財産の整理はご本人が手続きするよりもご家族が手続きをする方が圧倒的に手間がかかってしまうからです。
自己の財産の所在を最も把握しているご本人自身が整理をしておくことで、相続手続きの手間は見違えるほど減ります。
こうした円滑な相続手続きがご家族のよい未来への第一歩になります。

こうして財産を整理したうえで、必要な財産をそれが必要なご家族へ受け継ぐ。
財産の受け継ぎ先を伝える際には、そう決めた“想い”も一緒に伝える。
そうすることで初めて、相続争いからはほど遠い、『ご家族がより絆を深め、支え合って生きていける未来をつくる遺言書』を書くことができると考えています。
そのために、当事務所において遺言書作成支援のご依頼をいただいた際は、可能な限り「財産の整理」についてもお話を聞かせていただきたいと考えております。

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あなたの意思を確実に反映させるとともに、ご家族に感謝され、ご家族とともに充実した未来を生きるために行うべきことをまとめました。遺言書を書こうと思われた方はぜひ一度お読みください。