【相続登記】放置の3つのデメリット

【 目 次 】

【疑問】相続登記って本当にしなければいけないの?

相続登記とは、ご自宅などの不動産(土地、建物、マンション)を所有していた方が亡くなった際に、その不動産の名義を特定の相続人のものに変更する手続きのことです。
具体的には登記簿にある所有者の欄を変更するという、いわば書面上の手続きになります。
あくまでも書面上の手続きなので、この手続きを経ていないからというだけで実際の遺産の承継が成立していないということにはなりません。

「亡くなった方(被相続人)と同居していた母がそのまま住み続けている」
「長男が自宅を相続して移り住んだ」

などなど、ご家族できちんと話し合ったうえで実際に不動産を受け継ぎ、特段の不自由もなく既に使用などを始めているという方も多いかもしれません。

そんな中、2024年には相続登記が義務化されることとなりました。
また、お知り合いなどから「相続登記はしておいた方がいい」などとお聞きになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

「今のところ問題なく自宅に住み続けていられるし、相続登記は本当に必要なの?」と思われる方のために、相続登記を放置した場合に今後被る可能性のあるデメリットを大きく3つにまとめてご説明いたします。

《相続登記》放置の3つのデメリット

    • 相続人が増え、手間と費用が倍増!

      相続登記をする際、遺産分割協議という、不動産を含むすべての財産を、誰がどれだけ受け継ぐかを決めるための協議をしなければなりません。
      この遺産分割協議は相続人「全員」の参加および合意が必須なのです。
      この「全員」というのがポイントで、相続人が2~3人であればまだしも、10人、20人、30人ともなると全員の合意を得ることはとても難しくなります。
      相続人が20人、30人なんてそうそうあるものではないと思われるかもしれませんが、次の場合、相続人の数が一気に膨らむ可能性も低くはありません。

      a.代襲相続リスク、数次相続リスク

      相続人の中の一人(仮にAさんとします)が既に亡くなっており、その方にお子さまがいらっしゃる場合、Aさんのお子さまがAさんに代わって相続人になります。お子さまが複数いればその全員が相続人になります。(代襲相続といいます)

      相続人の中の一人(仮にBさんとします)またはAさんのお子さまが相続発生後に亡くなった場合、BさんやAさんのお子さまにも新しく相続が発生します。この際、BさんまたはAさんのお子さまが持っていたもともとの相続権も次の相続財産の中に含まれます。つまり、BさんやAさんのお子さまのご家族が今回の相続手続きの当事者に加わることになります。(数次相続といいます)
      数次相続が起きてしまうと相続人が一気に倍増するということも少なくありません。

      b.認知症リスク・未成年者リスク

      相続人の一人が認知症などにより認知機能が大きく低下した場合(仮にCさんとします)、Cさん自身は遺産分割協議に参加できない場合があります。この場合、Cさんの代わりに成年後見人などの第三者を選任しなければなりません。

      相続人の一人が未成年者である場合(仮にDさんとします)、Dさんは遺産分割協議に参加できず、Dさんの代わりに特別代理人を選任しなければならない場合があります。

      成年後見人や特別代理人を選任するためには家庭裁判所への専任の申立てをする必要があります。

      c.連絡困難な相続人が現れることも

      以上のように見てくると、相続人の範囲が広がれば広がるほど関係性が薄くなる場合が多いです。
      相続人が日本全国に広がり、中には海外に居住している相続人が現れる可能性も高まります。
      これらのほかにも相続人のどなたかに前妻との子どもがいる場合や、相続人の誰かが行方不明者になっているなどの可能性もあります。
      行方不明でどうしても連絡が取れない場合は、こちらもまた家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをする手間が増えます。
      それでも相続人全員を関与させなければ手続きを進めることはできないのです。

      d.取得できる財産が減ることも

      上記の成年後見人や特別代理人などは、本人(CさんやDさん)の権利を守ることが役目です。
      つまり原則として、少なくとも相続財産から本来得られるべき割合(法定相続分)のとおりの財産はそれぞれに分け与えなければいけないことになります。

      また、関係の薄い相続人からドライに法定相続分のとおりの財産を要求されることもあります。
      兄弟などの比較的親しい家族間で遺産分割協議ができていれば、生前の介護をしていた者に少し多く分けようなどとご家族の状況に合わせて分けることもやりやすいのですが、それ以外の方々の要望も聞かなければならないとなると柔軟な協議ができにくくなり、ときには自分が受け取る財産が減ってしまうこともありえるのです。

    • 居住や売却ができなくなる可能性も!

      a.ほかの相続人の債権者から担保を設定される

      相続財産は遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有財産になります。
      つまり、全員が所有者となり不動産を使用・収益することができます。
      相続人の中に事業をされている方などがいた場合などに、借入資金などの担保として相続財産が利用されてしまう可能性があります。

      この場合、遺産分割を終えていたとしても、相続登記がされるまでは外見上は共有のままであるため、遺産分割が済んでいることを知らない債権者からの抵当権設定登記が入ると、その抵当権は有効になってしまします。
      しかも、抵当権の登記を入れる前提として法定相続分のとおりの割合で勝手に相続登記が入れられることになり、その中の該当の相続人の共有持分の上に抵当権が設定されることになります。

      それ以外の相続人の持分については抵当権がついているわけではありませんが、たとえ一部にでも抵当権がついていると特定の相続人が住み続けたり、不動産を売却する場合には不都合が生じる可能性があります

      b.買い手が見つかってもすぐに売れない

      相続した不動産を第三者に売却したいという場合、不動産の買い手に名義を移す前提として相続人に名義を移しておく必要があります。(相続開始から売買で所有権を移すまでの間の所有者を明らかにするため)
      つまり、買い手が見つかったとしても、相続登記をしないことには売買手続きには進めないのです。
      ここで遺産分割協議に時間がかかってしまった場合、せっかくの売買契約が流れてしまう可能性もあるのです。
      相続登記さえ終えていれば、所有者になった相続人が単独で売買契約を結ぶなどの売却手続きをスムーズに進めることができます。

    • 権利の所在不明が引き起こすさまざまなトラブル!

      a.不動産の維持管理はトラブルの元

      相続財産は遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有財産です。
      つまり、全員が所有者として、維持管理をする義務も持っているということです。
      しかし、実際に共有者がそれぞれ協力して維持管理をしていくということは実際はあまりありません。
      相続人の中の特定の誰かがやることになります。

      その後の遺産分割協議において、維持管理をした相続人がその不動産を相続することになれば問題はないかもしれません。
      しかし、それ以外の相続人が当該不動産を相続した場合、それまで管理をしてきた相続人の気持ちはどうでしょうか?
      こういった手間はやった人間でないとなかなか想像できません。
      こういうところから遺産分割協議が揉める、家族関係が崩壊するといったことも少なからずあるのです。

      b.管理不全不動産は近隣トラブル・犯罪の温床に【空き家問題】

      例えば相続人が周りに誰もいないような遠い土地に古い建物を所有していたとしましょう。
      その家は誰が管理するのでしょうか?
      放置され、空き家となってしまった家屋が増え、近年の問題になっています。
      空き家には次のような問題があります。

      • 建物自体の老朽化が進み、町の景観を損ねる。やがては倒壊の恐れが生じることにもなる
      • 草木が過剰に生い茂り、近隣住民に迷惑が掛かってしまう。害虫の大量発生の原因になることもある
      • 空き家であることに目を付けられ、放火や不法侵入などの犯罪の温床になりうる
      • 行政機関が土砂崩れなどの災害を未然に防ぐための工事や災害後に町を復興するための整備を行うことに支障が出る

      近隣トラブルが続けばやがては損害賠償責任を負うことになる可能性もあります。
      また、こういった問題が積み重なり、平成26年11月に「空家等対策特別措置法」が成立しました。
      空き家の適正管理をしない所有者に対しては、市町村が助言などの行政指導を行い、それでも状況が改善されなかった場合は改善の命令を出すことができるようになりました。
      さらに、命令を受けた空き家に改善が見られない場合は、行政機関が所有者に代わって樹木の伐採や建物の解体工事などを行い、その費用を所有者に請求するという行政代執行の対象になってしまう可能性もあるのです。

ある司法書士からの《お願い》

近年「所有者不明土地建物問題」(いわゆる空き家問題)が深刻になっています。
現在では所有者がわからない土地は日本全国の約22%(九州より広い!!)を占めるといわれています。
ただでさえ狭い日本。それなのにその5分の1以上が活用困難土地に。
これでは日本の明るい未来は望めないのではないかと思うのです。

たしかに登記手続きにはお金がかかるし手間もかかります。
取り掛かりたくない気持ちもわからないではありません。
しかし、登記手続きは先延ばしにすればするほど費用・手間がかかる手続きです。
相続手続きにいち早く取り掛かる方が増えることが不動産の有効活用やご家族の良好な関係構築につながり、ひいては日本の未来がよりよくなっていくことを夢見ています。

なるほどなと思っていただいた方は「ちょっと相談してみるか」ぐらいのお気持ちで構いません。まずはお気軽にご相談いただけますと幸いです。

【最後に】相続の専門家に相続手続きを依頼するメリット

      • 昔やった相続手続きのときにこんなトラブルが起きて大変だったな...
      • この財産は手放さなければならないかな?
      • 次、相続手続きをするときに揉めたくないな...

このような思いも是非ぶつけてください。
今回の手続きの中でできる対策、さらには未来を見越した対策までをご提案できるのが「相続の専門家」の強みです。
あなたとあなたのご家族の明るい未来のために尽力いたします。

相続診断士の資格も持ち、数多くの相続案件に携わってきた「相続の専門家」がご対応いたします。
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投稿者プロフィール

鈴木 章宏
鈴木 章宏
池袋に事務所を構える司法書士。
不動産の相続登記や遺言の作成支援など、相続手続きに力を入れています。
相続は事前に準備をしておくことで救われることが多くあります。
一人でも多くの方が相続の事前準備の重要性を知り、ご家族の明るい未来を作っていけるような社会にすべく、有意義な情報発信をしていきたいと思います。